東京大学生産技術研究所 変形加工学研究室

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RESEARCH

研究紹介

From microstructure to manufacturing innovation

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材料の「なぜ変形するか」から、 「どう加工するか」まで

材料組織から金属の変形を理解し、
加工プロセスをデザインする

古島研究室では、金属の塑性変形を「材料の中で何が起きているか」という視点から理解し、 その理解を「どう加工すればよいか」というプロセス設計へつなげます。

結晶粒レベルの不均一変形、表面あれ、破壊、再結晶・集合組織といった材料現象を、 実験・計測・数値解析によって捉えます。さらに、FEM、結晶塑性FEM(CPFEM)、 データ駆動モデルや最適化を用いて、深絞りやチューブ成形、ダイレスフォーミングなどの 加工プロセスの設計・高度化へ展開しています。

Observe観察・計測
→
Understandメカニズム理解
→
Modelモデル化
→
Design加工設計
→
Create新技術創出
古島研究室の研究コンセプト。観察・計測、変形・破壊の理解、モデル化、加工設計・最適化、新しい加工技術へつなげる研究の流れ 図を拡大 ↗

観察・計測から変形メカニズムの理解、モデル化、加工設計・最適化、新しい加工技術の創出へ

現在の主な研究領域

結晶塑性FEMと実験の比較による不均一変形・表面あれ進展の解析
01

CRYSTAL PLASTICITY

結晶塑性と不均一変形

結晶方位、粒界、隣接粒との相互作用が、局所ひずみや表面変位をどのように生み出すのかを明らかにします。

EBSD / DIC / CPFEM / Polycrystal
金属表面の局所変形・表面あれのその場観察
02

FRACTURE & ROUGHENING

表面あれ・局在化と延性破壊

ミクロな不均一変形が自由表面の凹凸、局所くびれ、ボイド成長・合体、最終破壊へどうつながるかを追究します。

Surface profile / Localization / Fracture
ZM21マグネシウム合金のEBSD組織と再結晶挙動
03

MICROSTRUCTURAL EVOLUTION

加工中の組織発展と再結晶

温度、ひずみ、ひずみ速度、局所加熱・通電条件が、再結晶、粒径、粒界、集合組織へ与える影響を調べます。

DRX / Texture / Mg alloys / EBSD
微細精密プレス成形における表面あれ進展と有限要素解析モデル
04

MICRO PRECISION FORMING

微細精密プレス成形と寸法効果

板厚や加工寸法が微小になると顕在化する結晶粒径・表面粗さ・しわ形成の影響に着目し、成形性や破壊限界を実験と解析から調べます。

Micro cup / Size effect / Formability / Fracture
多段深絞りプロセスのFEM解析と工程設計
05

PROCESS DESIGN

加工プロセスのモデル化・設計・最適化

FEMやサロゲートモデルを用いて加工結果を予測し、加工条件や工程を設計・最適化します。

FEM / Surrogate / Optimization / Process design
金属製中空マイクロニードルなどの新しいマイクロ加工技術
06

ADVANCED FORMING

新しい加工技術を創る

専用金型への依存を減らし、局所加熱や工具モーションを活用して、マイクロチューブやニードルなど新しい加工法を開発します。

Microforming / Dieless forming / Tubes / Needles

結晶粒から表面あれ・破壊を理解する

Microstructure → Deformation → Fracture
実験とCPFEMによる表面あれ進展の比較。結晶組織、表面形状、表面プロファイルを対応させて比較している。 図を拡大 ↗

実験とCPFEMによる表面あれ進展の直接比較

FREE SURFACE ROUGHENING × CPFEM

実験とCPFEMを1対1で比較し、表面あれの発達を追う

多結晶金属の自由表面では、塑性変形とともに凹凸が発達します。 私たちはEBSDで取得した実際の結晶粒形状・方位をCPFEMモデルへ取り込み、 実験と解析で同じ領域を追跡しながら、結晶組織、表面形状、 そして表面プロファイルの時間発展を直接比較しています。

最近の研究では、表面の沈み込み・盛り上がりは各結晶粒の主すべりだけでは説明できず、 隣接粒との相互作用や非主すべり系の活性化も重要であることを定量的に示しました。 この知見を、表面あれの予測から局所変形・破壊の理解へ発展させています。

EBSDCPFEMSurface rougheningGrain interaction
Related paper: Materials & Design 260 (2025), 114975 →
表面あれのその場観察 図を拡大 ↗

その場観察と局所変形計測

小型試験機と3次元表面計測・DICを組み合わせ、表面凹凸、ひずみ局在化、破壊までの時間発展を捉えます。

レーザスペックルを利用したデジタル画像相関法

MEASUREMENT TECHNOLOGY FOR LOCAL DEFORMATION

局所変形を捉えるためのレーザスペックルDIC

塗料パターンを使いにくい薄箔や高温変形でも、大ひずみ領域の全視野ひずみを非接触で計測するため、 レーザスペックルを利用したDIC法を開発しました。 材料試験の「結果」だけでなく、変形がどこからどのように局在化していくかを捉え、表面あれ・局所くびれ・破壊の進展を追うための計測基盤です。

Related paper: Materials & Design 191 (2020), 108626 →
MEASUREMENT VIDEO

レーザスペックルDIC

レーザ散乱で自然に形成されるスペックルパターンを利用し、塗料を使わずに大きな塑性ひずみを全視野計測する手法です。

NEXT QUESTION

粗さから破壊へ、どこまで予測できるか

表面あれ、局所くびれ、ボイド成長・合体を同じ「変形の局在化」の視点からつなぎ、材料組織に立脚した延性破壊予測を目指します。

加工中に変わる組織を捉え、制御する

Thermal history × Strain history × Microstructure
ZM21マグネシウム合金の通電引張中におけるCDRX関連組織発展 図を拡大 ↗

通電引張中のCDRX関連組織発展に関する進行中研究より

ELECTRICALLY ASSISTED DEFORMATION × CDRX

局所的な熱・変形履歴と
動的再結晶を結びつける

ZM21マグネシウム合金の通電引張では、試験片内で温度、電流密度、局所ひずみ速度が一様ではなく、 その履歴が結晶粒微細化や低角粒界(LAB)の発達に影響します。

DICによる局所変形計測とEBSDによる組織観察を組み合わせ、 さらに転位密度・粒界発展を内部変数とする物理モデルを用いて、 流動応力、粒径、LAB分率の変化を統一的に記述する研究を進めています。

Mg alloyEAFDICEBSDCDRX

LOCAL HEATING × DYNAMIC RECRYSTALLIZATION

ダイレス引抜きの非一様場を利用したMg合金の組織制御

局所加熱ダイレス引抜きでは、加熱と変形が空間的・時間的に変化します。 ZM21 Mg合金では、送り速度によって双晶・すべり、twin-DRX、CDRXの寄与が変わることを 連続観察によって明らかにしてきました。現在は、こうした非一様履歴を「避ける」のではなく、 結晶粒微細化や集合組織制御へ積極的に利用する研究へ展開しています。

Related paper: Journal of Magnesium and Alloys 10 (2022), 730-742 →

微細精密プレス成形と寸法効果

Micro scale × Size effect × Formability
微細精密プレス成形における表面あれ進展と有限要素解析モデル 図を拡大 ↗

微細精密プレス成形における表面あれ進展、その場観察、有限要素解析モデル

MICRO PRECISION SHEET FORMING

微小寸法になると何が変わるかを、実験と解析で明らかにする

板厚や加工寸法が小さくなると、結晶粒径や初期表面粗さの影響が相対的に大きくなり、 均一な塑性流動を前提とした従来の理解だけでは説明しにくい現象が現れます。 私たちは微細精密プレス成形、とくに微細深絞りを対象に、 成形中の不均一変形、表面あれ、しわ形成、破壊、成形限界を実験的に調べています。

あわせて、結晶粒径や表面粗さを考慮した材料モデルや有限要素解析を用い、 微小寸法で顕在化する寸法効果を定量化します。 「なぜ微小になると加工が難しくなるのか」を理解することで、 高精度なマイクロ部材成形や新しい微細加工技術へつなげることを目指しています。

Micro press formingSize effectSurface roughnessFormability

予測するだけでなく、加工条件を設計する

Simulation → Surrogate → Optimization

MULTI-STAGE DEEP DRAWING

多段深絞りを、工程の「状態遷移」として最適化する

高アスペクト比のカップ成形では、各工程の肉厚、加工硬化、形状、接触状態が次工程へ引き継がれます。 そこで4段の絞り・再絞り工程をステージごとに扱い、 中間工程での継続可否と肉厚を組み合わせて予測するサロゲートモデルを構築しています。

FEMデータベースから多数の候補工程を高速探索し、高精度FEMで再評価、 最終的には実工具による成形で設計した工程を検証します。 「計算で予測する」から「加工ルートを自動的に提案する」ことを目指しています。

Deep drawingFEMSurrogate modelOptimization

多段深絞りのサロゲートモデリングに関する進行中研究より

加工法そのものを創る

Flexible forming × Micro manufacturing

金型を小さくするだけでは実現できないマイクロ加工、専用金型を作りにくい多品種少量加工、 極端な高温でしか変形しない材料。こうした従来加工の制約に対して、 局所加熱、材料の超塑性、工具モーションなどを利用した新しい塑性加工法を開発しています。

ダイレス引抜きによる金属マイクロチューブ図を拡大 ↗

金属マイクロチューブ

局所加熱と引張を組み合わせ、専用ダイスを使わずに細径・薄肉の金属管を創製します。

マグネシウム合金マイクロチューブ図を拡大 ↗

生体吸収性Mg合金チューブ

大きな断面減少と組織制御を同時に実現し、医療用マイクロチューブ・ステントへの展開を目指します。

金属製中空マイクロニードル図を拡大 ↗

金属製中空マイクロニードル

あえて破断を利用するという逆転の発想で、根元から先端へ急激に細径化した金属ニードルを創製します。

ダイレスベローズ成形図を拡大 ↗

ダイレスベローズ成形

局部加熱しながら管材を圧縮し、座屈を意図的に制御することで、専用金型を使わずに連続的な蛇腹形状を創製します。

超塑性ジルコニアセラミックチューブのダイレスフォーミング 図を拡大 ↗

セラミックスチューブの超塑性ダイレス成形

セラミックスは一般には脆性材料ですが、微細粒組織を持つジルコニアでは高温域で大きな超塑性変形が得られます。 一方、その発現温度は約1400~1700℃と非常に高く、通常の塑性加工用金型を使うことが難しいという課題があります。

そこで、アセチレンバーナによる局所加熱とダイレスフォーミングを組み合わせ、 約1700℃の超高温域で金型を用いずにセラミックスチューブを細径化する加工法を開発しました。 微細セラミックチューブの低コスト・高自由度な成形への展開を目指しています。

加工現象を動画で見る

ダイレスフォーミングでは、局所加熱や工具・材料の動きそのものが加工原理です。動画で見ると、研究の考え方がより直感的に分かります。

DIELESS FORMING

ダイレスベローズ成形

局部加熱しながら管材を圧縮・移動させ、座屈を制御して金型なしで連続的な蛇腹形状を創製します。

SUPERPLASTIC FORMING

セラミックスチューブの超塑性ダイレス成形

通常の金型が耐えにくい超高温域で、超塑性を利用してセラミックス微細管を金型なしで成形します。

実験・計測・モデル・加工設計をつなぐ

01

Experiment

引張、深絞り、チューブ成形、マイクロ加工。必要に応じて試験装置や治具そのものも設計します。

02

Characterization

EBSD、DIC(レーザスペックルDICを含む)、SEM、共焦点レーザ顕微鏡、3次元表面計測を用いて局所変形と組織変化を可視化します。

03

Modeling

FEM、CPFEM、物理ベース構成式、再結晶モデルなどにより、観察した現象を定量的に記述します。

04

Process Design

サロゲートモデルや最適化を活用し、目標形状・品質を実現する加工条件や工程を設計します。

研究をもっと詳しく知る

材料の中の現象から、
新しいものづくりまで。

実験、シミュレーション、材料組織、加工プロセス設計。興味の入口は一つでなくて構いません。

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